2019/08/07
これが中学入試の「英語入試問題」だ!
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。今回は各校で出題された「英語入試問題」を、ほんの一部ですがご紹介したいと思います。
「西大和学園中」(2018年)Section 3:Choosing the best response to the prompt
10) Matthew Calbraith Perry played a leading role in the successful opening up of Japan. He was told by the American President to open the Japanese ports to American trade.
a) He was unable to successfully start trade relations with Japan.
b) He decided to turn back when it was clear that Japan would not open itself to outside trade.
c) Japan resumed trade with the United States and other countries after his visit to Japan.
d) He successfully helped close off Japan to outside trade.
「慶応湘南藤沢」(2019年)英作文問題
Write a story that begins and ends with the following sentences.
Beginning: The two students were waiting nervously outside the headmaster's office.
Ending: They had never felt as happy as they did that evening.
注意 1)作文は英語で書くこと。2)時間は20分です。
「親和中」(2019年)3 次の各問いに答えなさい。
(1) 次の英文は、それぞれ漢字の成り立ちを説明しています。それぞれの英文が表す漢字を答えなさい。
③ This kanji is composed of four identical parts and one other part. The meaning of the four identical parts is "mouth", and the other part means "big". What kanji is this?
(注) be composed of ~ ~から作られる identical 同一の
(2) 次の英文の状況は、ある四字熟語にあてはまります。それぞれの英文の状況に合う四字熟語を、あとから1つ選びなさい。
② Kate had a problem with her weight, so she decided to go on a diet. She ate only meals, and she stopped eating sweets and snacks between meals. She started to play some sports and exercised a lot. One day, her husband saw her meal on the table and was surprised. It was a big meal;she was eating almost twice as much food as she did before going on the diet.
ア 臨機応変 イ 公明正大 ウ 不言実行 エ 朝三暮四
社会の歴史を織り交ぜたり、状況を設定して作文をさせたり、はたまた日本語の知識を絡ませたりとなかなか興味深い出題をしてきますね。ただ、小学校での英語で対応できるレベルでないことは火を見るより明らか。最後に挙げた親和中は「英検4級~3級程度」としていますが、実際に英検3級を持っているお子さんが「ちょっと無理」とせっかくの英語入試を回避してしまったくらいです。皆さんはどう思いますか。では、また。
2019/07/30
【学校情報2020入試】えっ!?プログラミング入試?武庫川女子大附属中
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。これまでのブログで、従来の学科試験に捉われない、新しい形の中学入試が増えてきたことに触れてきましたが、武庫川女子大附属中(以下、武庫川と略)も驚きの新形式入試を来年から始めることを発表しました。
武庫川は、かつてM方式と呼ばれていた入試方式を「自己推薦入試(SR入試)」という名称に変えました。このSR入試の項目に来年から「プログラミング」が加わることになりました。SR入試を出願するには事前審査が必要で、「調査書」「資格取得・活動内容報告書」「希望コース選択・確約書」「公開模試の結果個票原本」を提出し受験認定を受けなければいけません。受験資格が得られると、次のいずれかの試験を受けることになります。
<プログラミング・英語以外>(昨年と同じ)テーマ作文(複数のテーマから1つ選択し600~800字で作文)+本人のみの面接諮問
<プログラミング・英語>テーマ作文(プログラミング及び英語に関するテーマから1つ選択し600~800字で作文)+実技試験(プログラミング及び英会話に関する実技試験)
親和中のプレゼンテーション入試も充分インパクトがあったのですが、このプログラミング入試というのもなかなかスゴイ。ちなみに、武庫川は高校入試でも「自己アピール入試(SA入試)」というものがあり、入試当日は自己アピール面接のみということで、これも要するにプレゼンテーション入試ですね。
その他の変更点としては、次の3点があります。
・コース募集定員が、CGコース240→280、CSコース80→40と変更されます。
・1/18(初日)午後の「グローバル入試(G入試)」で西宮北口会場が設けられます。ただし、午前に他校を受験した者対象で受験科目は「算・国」のみ。また、会場の都合で定員が80名となっています。
・加点については、①英検、漢検、数検などの資格、②文化スポーツなどでの受賞歴、③児童会役員の3項目となります。
これからは入試要項をしっかり確認する必要があります。親御さんの時代はこうだったなんてまるで通用しません。それどころか数年前の兄姉の受験とも大きく変わっていることも考えられます。ネット上の怪しい私的な情報に振り回されてはダメですが、学校公式の情報を見落とさないようにしましょう。では、また。
2019/07/23
【学校情報2020入試】甲南女子中
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。先日、2020年に創立100周年を迎える甲南女子中の学校説明会に参加してきました。現在の東京都知事が出た学校としても有名ですね。通常はJR甲南山手駅から徒歩10分または阪急芦屋川駅から徒歩15分、それも結構な坂道を登らねばならないのですが、当日は阪急岡本駅近くにある甲南女子大のバス乗り場から学校のバスで送ってもらえたので助かりました。中高時代は同じく岡本駅から学校まで徒歩20分のところを早足で15分くらいで歩けたものですが、流石にもう歳には勝てないということかと…
バスが校門から校地内に入ると、2012年(平成24年)に新築なった「光と風と緑の学び舎」をテーマとした校舎が見えてきます。アトリウムを囲むように、下階から上階にかけて中1~高3の教室が配置されています。グラウンドは今年9月竣工予定で人工芝化の工事が進んでいます。人工芝にすることで周辺宅地に砂が舞わないという利点もあるとのこと。校舎屋上からは、よく晴れた日には大阪湾に浮かぶ関西国際空港も見渡せるという素晴らしい景色が眼下に広がります。
実受験者数 2017年316名→2018年291名→2019年341名
入学者数 2017年197名(171名)→2018年187名(160名)→2019年190名(166名)
※カッコ内は内部進学者を除いた数
スタンダード 2017年113名→2018年106名→2019年115名
Sアドバンスト 2017年84名→2018年81名→2019年75名
定員は36名×5クラスの約180名。2017年のSアドバンストが読み間違えてやや数が多くなったとのこと。Sアドバンストは2018年や2019年が適正数と考えられ、レベルが下がることは考えにくいのではないでしょうか。A入試1次2次、B入試の日程でSアドバンストからスタンダードへの移行合格制度があるので、Sアドバンストを目指しつつもスタンダードでもOKという姿勢が妥当だと思われます。なお、スタンダードからSアドバンストへの転コース制度が中1、中2終了時にありますが、使用テキストや進度の違いが大きくなかなか難しいようです。
A入試1次の合否判定得点は、①国算社理の合計点(300点満点)、②国算社の合計点(250点満点)の5分の6倍、③国算理の合計点(250点満点)の5分の6倍のうち、最も高い得点を採用します。2019年のSアドバンスト合格者では①0%、②25.6%、③74.4%で、スタンダード合格者では①7.8%、②31.3%、③60.9%となりました。上位生の合格者は圧倒的に国算理受験者が多いと言えます。理系人気がここにも表れているようです。
Sアドバンストコースの設置に見られる学力面での強化が奏功し、近年は兵庫県の上位女子層に人気が高まっています。昔のハイソなOGに言わせると「昔の甲南女子の品格が今はなくなっている」とかなり不評なのだそうですが、失礼を承知で言えば、もし昔のままだったらそれこそ今の甲南女子はなかったのではないでしょうか。時代の流れに乗り遅れて苦労している学校がいくつもある中で、甲南女子は上手に生まれ変わったと思います。「昔は良かった」と懐かしむのは勝手ですが、今の南女生にはそんな声を吹き飛ばして「新しい南女」を作っていってほしいと思うのですが。では、また。
2019/07/16
中学受験でAO入試ってどうなの?
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。中学入試と言えば、かつては算国理社4科目の、兵庫県下の私立中では算国理3科目の学科試験が課され、その合計点で競うのが主流でした。もちろん、今でも上位校ではその形式ですが、それ以外の学校では少子化の波に飲み込まれぬよう、生徒募集のために様々な入試形式を実施するようになりました。例を挙げると次のようになります。
1、アラカルト入試
① 算国理社または算国理のどちらでも受験できる。
② ①に加えて、さらに算国社でも受験できる。
③ ①②で算国理社受験者は「算国理社」「算国理」「算国社」で最も有利なもので判定する。
2、英語入試
① 英語を選択科目の1つとする。
② 英語1科目だけで判定する。英語での面接やプレゼンを実施することも。
③ 学科試験の代わりに、英検等の取得資格を点数に換算して判定する。
3、AO入試
① 一般入試とは別枠で、事前エントリーした受験生を審査、AO入試の受験資格を与える。
② 学科試験の代わりに、作文や面接、プレゼンを課す。
大学入試でも従来の学科試験だけでなく、突出して秀でた才能を評価するという「多様性」を求めるようになりました。中学入試でもこのような流れが入ってきた…と言えば聞こえはいいのですが、どうもそうではないようです。どちらかと言えば、かつての中堅以下の私大が行っていたAO入試に近いのではないかという危惧がそこにはあります。通常の学科試験ではとても合格できない生徒でも、何らかの形で合格を出し強引に入学させる。その結果、当面の利益を確保した引き換えに、学生の学力レベル低下を招いたのです。中学レベルの数学ができないなんてのはザラで、補講で漢字ドリルをやるなんていうトンデモ大学生もいる始末。
中学入試でも、生徒募集に苦戦していた学校がアラカルト入試やAO入試を実施して募集が回復する例があります。そして、必ずと言っていいほどその裏には大手塾の影がちらつきます。昨年までホームページの実績にすら載せていなかったのに、今年は「〇〇中〇〇名」と上の方に載せられている。合格の見込みが立て易くなった入試を利用して、滑り止めとして活用したい塾と少しでも受験生を増やしたい学校との思惑が一致したのでしょう。おそらく「進路指導」と称して、その学校を受験することを塾生に「営業」したのでしょう。この中で、本当に第一志望として受験したのはどれくらいなんでしょうか?
大学の例を待つまでもなく、このやり方が入学生の学力レベル低下につながることは否定できません。難関国立大の推薦入試では明確な基準があり、それを満たさない限りたとえ定員を満たさなくとも合格を出しません。そうでなければ真の「多様性」は担保できないのです。入試の「多様化」が単なる生徒募集の道具に過ぎないのだとしたら…「大手塾で言われたから」と安易に受験校を決めるのではなく、自分の目で見て、自分の頭で考えてほしいと思います。では、また。
2019/07/08
大学附属校という選択・関西学院大の理系学部再編
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。関西学院大が神戸三田キャンパス(KSC、兵庫県三田市)の再編構想を明らかにしました。「現在の2学部(理工学部、総合政策学部)から、総合政策学部と新設4学部を合わせた5学部体制にする。新設するのは理系4学部(理学部、工学部、生命環境学部、建築学部)で、KSC開設(1995年)から四半世紀の節目となる2021年4月からの予定である。」としています。今回の再編は、創立150周年の2039年を見据て策定された将来構想において、その長期戦略の中で「理系の強化・充実」を掲げたところからきているそうです。この計画は現在設置構想中であり、2020年4月に文部科学省に設置届出を予定とのこと。
関西学院中学部(「中等部」ではありません。高校は「高等部」ですが。)や啓明学院中を志望する動機として、エスカレーターで関西学院大に進学できるというのが大きなものであることは間違いないでしょう。大学入試が大きく変わり、学校や親どころか兄姉の経験則すら通用しなくなるとあっては、大きなメリットと感じるのも無理はありません。一方、当たり前ですが進学が関西学院大に限定されることや関西学院大に設置されていない学部・学科に興味が湧いたときはどうするのかというデメリットもあります。これはどの大学附属校でも多かれ少なかれ共通することですが、特に関西学院大の場合は「理系が弱い」というのが通説になっている節があり、昨今の理系人気の風潮に乗り遅れ気味という雰囲気でした。
とは言え、関西学院中学部の人気は高止まりで特に女子は狭き門であることは周知の事実。来年度入試を変更することも既にお伝えした通りです。それでも大学が将来を見据えて「理系の強化・充実」を打ち出したのは、現在の大学が置かれている状況がやはりシビアだということなのでしょう。入学定員の厳格化や経営の健全化等、私大もこれまでになく厳しい制約を受けるようになりました。そのために、関西にある高校も関関同立を筆頭に大きく合格実績を落とす憂き目に遭いました。となれば、大学からの入学が難しくなれば中学から入ろうという機運が高まるのは必至。附属校から生徒を受け入れる大学としてもなるべくレベルの高い生徒が欲しい。であれば、大学の魅力を高めることでより多くの受験生を集めて、附属校でもよりハイレベルな選抜をしたいとなるのも当然の成り行きでしょう。
中学受験の選択肢に「進学校か大学附属校か」というのがありますが、メリット・デメリットはどちらにも当然あります。進学校なら大学選びの自由度は高いですが、相応の学力でなければ浪人の可能性も高くなります。厳しい中学受験の後に、さらに6年間ハードワークしなければならない学校も多く存在します。一方、大学附属校の場合は大学のこともよく調べましょう。親御の古い知識はまったく役立ちません。親御さんの独り善がりな考えだけでなく、お子さんの個性もよく見極めて選択してください。では、また。