2019/10/02
ママも餓鬼道に落ちちゃうの?②
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。お釈迦様の弟子の目連さん、優しかった母が餓鬼界(道)で苦しんでいるのを見てお釈迦様に助けを求めた、というお話の続きからです。
「目連よ…お前の母親は罪が深いのだ…」「えっ…なぜですか?母上はとても優しく、私にとっては良い母でしたが…」お釈迦様はこう続けました。「そう…お前の母親はお前を愛する余り、周りを思いやる心を失ってしまった。我が子の幸せを思う余り、大事なことを見落とし、他の子どもの幸せが憎らしく思えたり、十分に幸せなのにもっともっとと貪ってしまったのだ。」
目連さんが子どもだった頃、目連さんの母親は、他の子どもから無理矢理取り上げた食べ物を目連さんに与えたり、召し使いの子どもにまで目連さんの前で跪くよう強要したりしており、それに従わない者には怒声を浴びせていました。「お前のためと言いつつ、自分さえ満足できればそれで良いという生き方をお前の母はしてしまった。そのために今、餓鬼道に落ちて苦しんでいるのだ。」
現在でも同じようなことはいくらでもあるように思います。「同じサッカークラブで、隣の子はレギュラーになったのに、ウチの子は補欠にすら選ばれない。ウチの子の方がどう見ても上手なはずなのに。あの子の母親は口もデカいから、うまくコーチに取り入っているに違いない!」「こないだの塾の模試で、クラスの同級生は算数で満点取ったのに、ウチの子は70点しか取れない。ウチの子だって頑張ってるのに、アタマが悪いみたいに見えるじゃないの。あんな子なんていなければいいのに…」思い当たるフシ、あなたにもありませんか?
「我が子が可愛い」という思う心は親としてはごく自然の感情でしょう。ただそれは、あくまでも対象がお子さんだけに限られているときのお話。赤ちゃんだったお子さんがだんだん成長していくことを、親として純粋に喜んでいるのならよいのです。ところが、いつの間にやら他人と比べることで「他人ができているのに我が子はできない」ことがすごく気になり、焦り、悩み、時には怒りとなってお子さんに向いたり…その時点で、「我が子のため」ではなく「自分の満足のため」に変質してしまっているのです。「我が子への評価」=「自分への評価」子どもが自分とは独立した「人格」であることを忘れ、ブランド品のような「所有物」となった瞬間でもあります。
言うまでもなく、こんな状態が正常であるはずがありません。目連さんの母もそのことがわからず、餓鬼道に落ちる羽目になったのです。さて、目連さんは母親を救うことはできるのでしょうか。では、また。
2019/09/23
ママも餓鬼道に落ちちゃうの?①
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。ウチの教室長が講習の合間を縫って、ご実家のお墓参りのためにお寺に行った時のこと。お寺の玄関に「おぼんのおはなし」という冊子が置いてあり「ご自由に」とあったので持って帰りました。お子さんにもわかりやすいように漫画で描かれているのですが、その内容がなかなか興味深く、中学受験にも通じるところがあったので、一部ですがご紹介したいと思います。(後で調べてみたところ、有名なお寺から発行された冊子で、他にもさまざまな書籍があることがわかりました。)
お釈迦様の弟子に目連さんというとても超能力に優れたお坊さんがおりました。ある日、目連さんは亡き母に会いたいと思い、超能力で母を探しに行くことに。仏教には6つの輪廻の世界(天上界、人間界、修羅界、畜生界、餓鬼界、地獄界)があり、「優しかった母上のこと、きっと天上界にいるはずだ」と真っ先に天上界に向かいました。
ところが天上界のどこにも母はいません。まさかと思いつつも「怒りにあふれ常に戦いや争いばかりの世界。日頃、怒りに任せ傲慢で僻みの多い人が落ちるところ」とされる修羅界に行くことに。ですが、ここにも母はいません。次に向かったのは「動物たちが住む世界。日頃、善悪の理性がなく本能のままに行動する人が落ちるところ」とされる畜生界。ここにも母はいません。「ということは、まさか…餓鬼界に…」
餓鬼界とは「常に飢えと渇きに苦しむ世界。日頃、強欲で嫉妬深く人を思いやる心がない人が落ちるところ」どう考えても母がいるはずが…ところが、そこには痩せさらばえた姿の母がいたのです。かなりのショックを受けた目連さんでしたが、その強い心で悲しみに耐え「そうだ。私の超能力で母上が欲しがっている食べ物や飲み物を出してあげれば良いのだ。」目連さんは超能力で用意した食べ物を母に差し出しました。母親はひったくるように食べ物を口に運ぼうとしましたが、口に入れる瞬間にそれらは炎と化し食べることができません。何度繰り返しても同じで、母親を更に苦しめてしまうだけでした。
自分の力だけではどうにもできす、失意のうちに戻った目連さんは悩んだ末にお釈迦様に助けを求めました。するとお釈迦様から思ってもみなかった言葉が。「目連よ…お前の母親は罪が深いのだ…」「えっ…なぜですか?母上はとても優しく、私にとっては良い母でしたが…」これは一体どういうことなのでしょうか。何かしら思い当たるフシが…なんてことはないでしょうか。この続きは次回に。では、また。
2019/09/13
夏期講習は終わった。さあどうする?
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。夏期講習も何とか無事乗り切り、通常日程に戻りました。大手塾と違ってスタッフも限られているため、指導中の電話一本が結構鬱陶しいもの。重要ポイントの説明をしている最中に「代表にお電話です」で舌打ちをしながら電話に出ると、それが営業電話だったときは正直言って腹が立ちます。怒りを抑えて「今講習中なんで」と言うと大抵は終わりますが、たまにそれでも営業トークを続けようとするのもいて「もう結構です」ガチャン!も何度かありました。そちらも仕事なんでしょうけど、もうちょっと空気読んでよね。「仕事中は絶対に電話に出ない」という経営者もいるそうですが、この時期だけは心底から賛同します。まあ、保護者の方からの緊急連絡もないわけではないので、電話を完全無視するわけにはいかないのですけどね。
夏期講習の売上が経営に大きな影響を与えるため、大手塾では夏期講習の受講率がノルマとして各教室に課されます。もちろんそれは賞与査定等に大きく響くことになるので、社員さんたちは血眼になって夏期講習の受講を教室生と保護者に迫ります。「弱点補強をしっかりやりますよ」「志望校合格のために絶対必要」「途中入塾で未習の単元も講習で追いつけますよ」ところが、塾生の保護者の中には講習料がかなりの高額になるため受講を渋る方も少なからず出てきます。しかし敵もさるもの。「早期割引の特典がなくなりますよ」「受験生なら夏に頑張るのは当たり前」果ては「夏期講習受けないと志望校別コースに残るのも難しくなりますよ」という脅し文句すら出てきます。
で、いざ夏期講習が始まってみると、何年経っても変わらぬテキストを同じ時間割で「消費」していくだけの毎日。拘束時間だけはやたら長いもんだから、漫然と受けているだけでも勉強をした気にだけはなってしまっている。夏期講習が始まる頃に「夏休み・最初の『脱落者』にならないために」、講習中に「夏期講習うまくいってる?」を書いたのも、そういう状況にならないよう警鐘を鳴らしたかったから。講習で何をやるべきか意識を持つ姿勢、講習中も思ったように進んでいるか検証し改善する姿勢を、少なくとも受験生の親ならお持ちいただきたいと思ったから。
夏期講習が終わりを告げた今、お子さんの夏期講習はいかがだったでしょうか。目を背けずに振り返るべきです。「あれだけ頑張ったのだから、成果がない訳ないじゃない。」というような楽観的感情論は捨てましょう。では、また。
2019/09/06
三田学園中・オープンスクールもリキ入ってます
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。各校ともオープンスクール等の行事が盛んなようです。受験生は勿論、小5や小4生でも気軽に参加できるところも多く、子ども対象の体験授業やクラブ見学、保護者対象の個別相談会といったあたりが一般的なところです。最近では、他校との差別化を図って志願者を一人でも多く獲得しようと、その内容にも趣向を凝らしたものが増えてきているようです。先日は三田学園中でオープンスクールが実施されました。今回はそのことについて書いてみたいと思います。
全体説明会の前に自由に施設見学・クラブ見学できる時間があり、高校生が案内する約15分の「校内見学ミニツアー」なるものも。何せ16万平米(甲子園球場のグラウンド12個分!)の広大なキャンパスですから迷ったら大変です。「Open School Guide」には、当日のスケジュールや構内図、各クラブの手書きのPRが載っていて「気になる施設やクラブがあればぜひ見学してね。楽しいよ!」という雰囲気が伝わってきます。全体会では吹奏楽部による歓迎演奏、理事長・学校長挨拶、高校生徒会による学校紹介が行われました。その後「第二部」として体験授業があり、参加者は中学各教室へ。
机上には資料の他に、「Welcome To Sanda Gakuen ☆」「オープンスクールに来てくれてありがとう☆楽しんでね!!」という生徒の手書きメッセージカードが。三田学園を第一志望と考えているお子さんはいたく感激した面持ちのようです。体験授業中に個別相談会も同時実施していて、熱心な保護者はそちらに参加していました。配られた資料にあった一節「12歳の決断 三田学園という未来。」その裏に「文武両道の凄い子ばかりがいるのじゃないか。三田学園の一般的、標準的な生徒はどんなだろう(中略)特別に目立っているわけじゃない彼ら、彼女たちも、本校伝統の『全人教育』を自分自身であらわしてくれている立派な三学生です。」
ともすると学校選びの軸が保護者目線に偏り、大手塾の偏差値だの、ネット上の噂だの、大学実績だの、学費だのといった「評価や数字」ばかりが先走りし、お子さんの夢や性格などに合うかどうかなど後回しになりがち。ところが、三田学園のオープンスクールは「学校生活は生徒が主役」であることをあらためて示しているように思えます。広報誌にも「本校を第一に目指す受験生が多いことは(中略)本校の建学精の精神、学習環境の豊かさ・歴史と伝統・進取の精神などが広く認められてきたためだと考えられる。」「今後、さらに積極的取り組みにより、これからの時代に求められる人物の育成に注力したい。三田学園は、多くの方の期待に応えられるように、伝統を継承しつつ、進化を続けている。」
私(当塾代表)は三田学園が男子校だった頃から知っていますが、やや停滞気味だった当時と比べると随分変わったなという印象です。「生徒の顔が見えるようになった」というのが正直な感想。共学化には強い反対もあったと聞いていますが、現在の三田学園を見れば間違いなく成功だったでしょう。親御さんにもそういうところを学校見学で感じ取ってもらいたいものです。では、また。
2019/08/17
夏休み・最初の「脱落者」にならないために
神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。夏休み、受験生にとっては最初の大きなヤマ場です。大手塾などでは、夏期講習中の志望校別特訓の選抜テストが行われたところも多いことでしょう。当の本人のみならず親御にとっても、志望校の特訓に入れるかどうかが「すべて」。入れたらもう合格したかのように大喜びし、入れなかったらネガティブな感情が大爆発…毎年繰り広げられる光景ですが、ホンマに飽きんとようやるなぁと呆れてしまいます。
一方、1学期から既に志望校別特訓が開講されている塾では、いわゆる「肩たたき」にあっているお子さんもいます。「成績不振により志望校変更の検討を」と言われるパターンです。耳の痛い方もいませんか?まあ、大抵の親御さんは簡単には引き下がりませんし、塾の方もこの時期は「警告」程度であることがしばしば。「話がこじれて退塾にでもなったら元も子もない。夏期講習の授業料は確保せねば。」という経営判断が先に立ちますから。大体のところ、こんな落としどころになるのではないでしょうか。
「このままでは〇〇中コースに残るのは厳しいですねぇ。」「そんな…ウチの子は〇〇中志望なんです。何とかなりませんか。」「算数がもっと伸びてこないと何とも…」「でも、夏休みに頑張って逆転する子だっているでしょう?」「それはまあ、いないこともありませんが。」「だったら、夏休みが終わるまで待ってくれてもいいんじゃありませんか。」「そこまでおっしゃるなら待ちましょう。であれば『2学期最初の公開模試でコース基準を下回ったときはコース変更』ということでよろしいでしょうか。」「構いません。ウチの子なら頑張ってくれますから。」
そういう親御さんに質問です。「夏休みにどうやって現状を変えていくのか、お子さんと意思疎通を図りましたか?」まさか、本当に「ウチの子なら頑張ってくれるはず」というだけではないでしょうね。どうして「肩たたき」を受けることになってしまったのか、必ず何かしらの原因があるはずでしょう。それをきちんと反省して、どうすればその状況から抜け出せるのか考えるべき。お子さんともよく話し合って共有しないと。親が一方的に押しつけても、お子さんに無責任に丸投げしても事態は好転しません。そういう姿勢こそが「肩たたき」という現状を生み出した元凶なのだから。
こういう話をするのは、いくら忠告しても「最後のチャンス」をフイにして中学受験レースから「脱落」する子が後を絶たないから。中学受験からの「脱落者」は夏期講習後に多いのです。小6以前での「脱落」なら失うものは最小限で済みますが、一応受験に必要な全範囲を学習し終えてからの「脱落」となると時間的にも精神的にも喪失感がハンパありません。夏期講習後に最初の「脱落者」にならないためにも、講習でやるべきことくらいは親子できちんと認識を共有しておきたいものです。では、また。