ブログ・コラム
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2020/03/18

瓜田に履を納れず李下に冠を正さず

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。受験生が入試会場の学校に向かうとまず目に入るのが塾関係の入試応援風景だと思います。そこを通り抜けて正門から集合場所に入っていく、というのがごく普通でしょう。学校の先生は、まあ案内担当者が何人かいる程度なのではないでしょうか。ましてや、校長先生が出てくるというのはあまりないことでしょう。校長先生のお顔を見られるのは合格者招集の時、ということは不合格だとその機会もないということ?それはあまりにも酷い仕打ち…

でも、そんな学校ばかりでもないようですね。以前このブログでも紹介した大阪の清風中。開門時刻になり正門の扉が開けられると、真っ先にお出迎えするのが校長先生。「お早うございます」と受験生に声を掛けていらっしゃいます。その後方にはやはり先生方が花道を作って受験生を迎えています。かなり寒いのに全員スーツ姿。塾関係者と違ってウィンドブレーカー等は着用されていません。裏門に立っていらっしゃる先生方も同じです。受験生に対する学校の姿勢がよく表れているのではないでしょうか。他に、兵庫の須磨学園中でも理事長が自ら受験生を出迎えることが知られています。全員合格にすることはできないけれど、受験生にはぜひとも全力を出し切ってもらいたいという想いの表れではないでしょうか。

その一方、一つの塾から多くの受験生が集まる学校だと、受験生の親御が花道を作って拍手をしながら送り出すというような光景も。中学受験っていつから「団体戦」になったのでしょうか?全員合格ならいいでしょうが、合格発表の後は二度と会うこともないなんてこともあるでしょうに。同じ花道でも受ける印象は随分と違って見えるものですね。あと、学校の敷地深くまで塾関係者が入りこんでいるのも、見ててあまり気持ちの良いものではありません。旗や幟を持った塾関係者と校長が話をしているなんてのもあるようですが、特定の塾との不適切な「お付き合い」を疑われかねません。他塾の受験生がそれを見て「あの塾でないと入学後も仲間外れになるかも」と危惧し、合格したのに入学を辞退したという例もあるようです。皆さん見られていますよ。「瓜田に履を納れず李下に冠を正さず」では、また。

瓜田に履を納れず李下に冠を正さず
瓜田に履を納れず李下に冠を正さず

2020/03/05

戦い済んで日はまた昇る

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。全国展開をしている進学塾では「チェーン店」が各地域でどのような合格実績(売上実績?)を挙げたのかを公表するのに必死です。

だって企業にとっては合格実績が、数が、すべてなのですから。ですから、その見せ方にだって当然リキも入ります。来期の自分たちの会社での立ち位置まで決まってくるのですから。ここでそのことについてあれこれ述べるつもりはありません。でも、知っておいてください。受験業界のほとんどは「数」こそがすべての世界だということを。戦い済んで日が暮れて…

希望の中学校に我が子の受験番号が無かったからと言って泣き暮れているアナタ。お子さんのために一所懸命塾の情報を調べ、しっかり吟味したつもりで入塾を決め、テストの結果に一喜一憂し、お子さんとともに喜び、泣き、時にはお子さんを叱咤し、健康にも心を砕いてきたのに…塾の先生の言うことを信じ、塾の先生の言う通りにしてきたのに…塾の先生こそが強い味方だと信じてきたのに…なぜ?ウチの子が不合格なの?一緒に塾で勉強していたアノ子は合格なのに…なぜ?

それが「入試」だから。「現実」だから。ここでチョット思い出してみましょう。元々なんで「中学受験」をしようとしたのかを。我が子が良い仲間と出会って、したいことができる環境を、と考えたら公立中でなくて私立中だった。「〇〇中」なんてよく知らなかったけれどだんだんテストで点が上がってきて、塾の先生も「大丈夫。目指すならもっと上を。出来ますよお子さんなら。」っていうからチョット期待してみたのよ。でもそれがいけないことだったの?奇蹟は起こるはずだった。だって去年アノ子が合格してるから、だったらウチの子も…

ゴメンナサイ。奇蹟なんて起こりませんよ。合格した子は「受かるべくして」合格したのです。それが現実の「入試」だから。でも、戦い済んで日が暮れて…不合格の現実がぐさりと突き刺さってきたら…ヤッパリ思いっきり泣いてしまいましょうよ、アナタ。悲しいもんは悲しいし、悔しいもんは悔しいって!「また頑張れば」とか「努力は無駄にならない」なんて言葉もいらないよ。泣いて泣いて、泣き疲れよう!そして、後はゆっくり眠ってしまいましょう。でも、泣くのは今だけ。そしてこの場所にだけにしましょう。お疲れ様、お母さん。ありがとう、お母さん。明日になれば日はまた昇ります。お子さんの明日も。では、また。

戦い済んで日はまた昇る
戦い済んで日はまた昇る

2020/02/18

戦い済んで

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。阪神間の私立中学入試も終わり、大半のお子さんは進学先も決まったことでしょう。この頃になると各塾の合格実績も出揃い、それを見比べて通っている塾がどうだったとか、これからどの塾にしようかとかいう親御の声から、にわか評論家が知ったか顔で塾や学校について持論を展開しているようなものまで、ネット上ではいろいろと聞こえてきます。当の受験生やその保護者以外にとっては、ある意味一番「楽しい」時期なのかもしれませんね。

一方、当の受験生の保護者にとっては、これまで長い間想像や見聞の中の世界であった中学受験が「実体験」となった訳で、「戦い済んで」ようやく見えてきたこと、今だからこそ言えること、今になってあれは間違いだったと思えること、そんな想いが心中を飛来していることでしょう。特に、強く志望していた学校が残念だったとか、もっと酷くて「全落ち」だったとかなると、後悔の念や恨み言の一つや二つ(どころで済まないか)は湧いてこないはずもありません。この時期、某教育系サイトでは「全落ち」した子の親御がその想いを吐き出すスレなんてのも立ち、結構多くの書き込みがあるようです。

内容の詳細はさすがに省きますが、受験前にウチのブログを読んでいただけていたら少しは状況を変えられたかもしれないのになぁ、というものも少なくありません。「模試でA判定だったから受けた学校が全滅だった。一体どういうことなの?」「受験前は『大丈夫ですよ。頑張りましょう。』と言っていたのに、不合格の後は『頑張ったけれど残念でしたね。』って、それだけなの?」「受かった子はチヤホヤされて、落ちた子はまるでいなかったかのような扱い。塾を信じて何もかも言う通りにしてきたのに…」気持ちがわからないではありませんが、そういう考え方自体が危険だということは当ブログでも申し上げて来た通り。これから受験をする子の親御さんにはこれらの例を「他山の石」としてください、という他ありません。

しかし、どこにでもいるものですね、空気読まないヤツ。「『全落ち』した~」って書いてあるのに、わざわざ出しゃばってきて「ウチの子は〇〇塾にお世話になって、第一志望の△△中を受かりました。△△中を落ちられて〇〇塾の悪口を書かれていた方がいらっしゃるようですが、ウチの場合はそんなことはありませんでしたよ。〇〇塾のセンセイ方にはとても感謝しています。」等との書き込み。すぐに「全落ち」軍団?に総攻撃されて「退場」されていたようですが、そうまでして自己承認を得たいのでしょうか?「それ、〇〇塾のセンセイの書き込みじゃないの?」なるほど、それもあり得ますね。いずれにしても随分とくだらないことです。

とある学校の合格発表会場。ある程度時間が経ち、合格者の喜びと不合格者の悲しみが交錯しているような状況。某大手塾のセンセイ、おそらくその学校のコース担当責任者と思しき男性が「おーい、受かったやつこっちに集合。記念写真撮るぞー!」はぁ?思わずその男性の顔を見てしまいました。それを合図に、受かった子はその方向へ、落ちた子は校門へ向かっていきました。どちらも同じ塾のカバンを背負っていたのですが、正に「受かった子はチヤホヤされて、落ちた子はまるでいなかったかのような扱い。」なのでしょう。

私(当塾代表)が某大手塾にいた頃、実は同じ学校でこんな出来事が。会場で塾生が私に話しかけてきました。その子は受かったはずなのになぜか浮かぬ顔をしています。どうしたのかなと思っているとそれを察したのか「僕は受かりました。」と。「だけど同じ小学校で仲が良かった□□君は残念だったんです。『二人で絶対この学校に行こう』って約束してたんです。明日から僕はどう接したらいいでしょうか?」アドバイスをすると少し表情が和らぎました。後にこの塾生の親御さんが「合格も嬉しかったのですが、他を思いやる姿に人間的な成長も感られじたこともとても喜ばしいことだと思っています。」戦い済んで、お子さんにどのような成長を見出せましたか?では、また。

戦い済んで
戦い済んで

2020/01/30

2020年灘中入試資料より

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。神戸大学附属中等教育(神大附属)の一般適性検査の合格発表が行われ、阪神間の主だった入試はほぼ終了したと言ってもいいでしょう。岡山中の三宮会場入試から始まった当塾の今年の中学受験シーズンも、神大附属の合格発表で最後となりました。岡山中で東大・国立医学部コースの特待合格という幸先の良いスタートでしたが、最後も神大附属の合格を勝ち取ってきてくれました。一昨年の6月に移転開校したてだったこともあり、今年の受験生は全員2月以降の入塾で、さらにその半分が夏期からのスタートだったことを考えると、よくぞここまで頑張ってくれたものだととても感慨深いものがあります。(今年の合格実績は当塾ホームページをご覧ください)前回灘中1日目の様子について書きましたので、今回は今年の灘中の結果について、昨年との比較という形で書いてみたいと思います。

【灘中入試資料】
2019志願者数731 欠席者数23 受験者数708 合格者数262 実質倍率2.70倍
2020志願者数775 欠席者数13 受験者数762 合格者数256 実質倍率2.98倍

以下は居住地別のデータです。
2019志願者数 近畿361 その他370(東京・神奈川・埼玉・千葉189 愛知45 中四国55 九州61 その他国内20)
2020志願者数 近畿394 その他381(東京・神奈川・埼玉・千葉215 愛知44 中四国53 九州50 その他国内18海外1)
2019合格者数 近畿143 その他119(東京・神奈川・埼玉・千葉69 愛知14 中四国13 九州17 その他国内6)
2020合格者数 近畿156 その他100(東京・神奈川・埼玉・千葉57 愛知15 中四国11 九州14 その他国内3)

昨年に比べると近畿勢が盛り返した分、首都圏勢がやや苦戦したという結果になったようですね。受験者数が増えた割に合格者数が絞り気味なのも頷けます。近畿以外からは3割くらいの「歩留まり」(合格者が手続きする割合の事)で計算しているようですね。まずは手続き時の辞退者分の追加合格、さらに首都圏の入試結果による辞退者分の追加合格が出ますが、今年は近畿勢が多かったので例年よりは追加も少ないかもしれません。

この時期になると各塾が「灘中合格〇〇名」と競う光景が繰り広げられます。人数だけではなく、ウチは1位合格が出ただの、算数満点を取ったのはウチの塾生だなどと、アピールに余念がありません。ご苦労さんなこったと思いますが、その陰で残念だった受験生は報われませんよね。数字上では「いなかった」のと同じことにされるのですから。「数字が多い塾に行けばウチの子も受かる(はず)」その発想「あの宝くじ売り場は1等が多く出ているからあそこで買えばン億円が当たる(はず)」と同じですよね。多くは語りませんが、少なくとも賢い考え方とは言い難いですよね。

むしろこの手のアピールは塾生向けのモノなのかなぁ、と思います。来年の受験生に不安を持たれるわけにはいきませんし、塾生の親だって「自分が選んだ塾に間違いはない(あるはずがない!)」と思いたいでしょうからね。少しでも「いい情報」があれば信じたくもなるのでしょうが…ここで一つ申し上げておきましょう。各塾の灘中合格者数を足し算すると、なぜか合格者数を遥かに超えてしまうんですよね。その辺のお話は次回にしましょう。では、また。

2020年灘中入試資料より
2020年灘中入試資料より

2020/01/18

2020年灘中入試1日目

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。18日は阪神間の私立中学統一入試日でした。受験生の皆さん、そして付き添った保護者の皆さんお疲れ様でした。近年は受験スケジュールがギュッと詰まっているため、初日から午前、午後とW受験という受験生も少なくなかったでしょう。連日でW受験という強行軍のお子さんもいます。やはり実際の入試ともなると、緊張感などから模試やプレテストとは疲労度が大きくなりますので、しっかり休養を取ってこの後に備えてもらいたいものです。来年以降の受験を予定されている方もその辺の事情は十分理解しておいてください。「心技体」=気力、学力、体力をバランスよく充実させることが肝要なのです。

さて、今年も行ってきました、灘中入試1日目。塾のイメージカラーに染められた幟や旗、それを持つやはり同じ色のウィンドブレーカーに身を包んだ関係者、受験生を試験会場へと送っていくための「花道」、そして塾のセンセイからの激励と保護者の拍手…相変わらずの光景がそこにありました。例年に比べるとややおとなしくなった?それでも、この瞬間を迎えるまでに費やした時間や労力、犠牲にした数々のもの…一人だけで正門をくぐり、受験票チェックを受けて奥へと消えていくお子さんの姿を、それこそ祈るような目でいつまでも見つめている親御さんの心中に飛来しているのは何なのでしょうか。いずれにしても2日後には「結果」が出ます。

所定の時刻になり、正門の扉が音を立てて閉じられます。試験が終了し隣接する第2グラウンドに出てくるまでは、お子さんに会うことはありません。保護者はいったん学校を後にするか、体育館でひたすらじっと待つか。体育館では、塾毎のグループに分かれて、暖房器具の周りでパイプ椅子に腰かけている保護者の姿が。読書をしたり、お仲間と話をしたり、じっと静かに遠くを見ていたり。ちょっとざわつくのは終了した試験の問題が販売される時。購入後にそそくさと体育館を出ていくのはおそらく塾関係者。問題解きという仕事があるのです。保護者はというと、食い入るように問題を睨みつけ、我が子が解けたかどうか思いを巡らせます。しばらくするとまた静寂が。試験終了までそんなことが繰り返されます。

1日目最後の算数終了時刻。問題販売の列は体育館の壁沿いにかなり長くなっています。その一方で、我が子を出迎えようと第2グラウンドに向かう保護者の流れができます。親御の顔を見つけて笑顔で駆け寄る子、落胆の色を隠せず今にも泣きだしそうな子、午後入試に向かうために先を急ぐ親子、様々な想いがここでも交錯しています。「未来の灘中生」を取り込もうと中学生塾が宣伝グッズを配っている中を通り抜けて帰途に就く受験生親子。明日もう一度この場所に舞い戻ってきて2日目の戦いに挑みます。2日入試というのはやはり大変です。1日目を終えた時点でメンタルをやられ、2日目はすでに戦意喪失なんてお子さんも決して少なくありませんから。来春以降の2日入試をお考えの方、我が子の精神面のことを考慮に入れてください。

体育館を出ると、灘中前の国道2号に大型バスが4台横付けされているのが目に入りました。どうやら首都圏からの遠征受験をしている某塾が、受験生親子のために用意したもののようです。いわゆる路駐で、バスの後方から来る車が車線変更を余儀なくされており、クラクションが鳴り響くなどちょっとした騒ぎになっていました。これってありか?と思っていたら、最前方のバスの横で4人の警察官が責任者と思しき男性に強い口調で注意しているところでした。程なくバスは誰も乗せずに走り出しました。取り敢えず路駐を回避したようです。当たり前と言えば当たり前。首都圏ではどうか知りませんが、天下の国道に大型バス4台を堂々と路駐して「こちとら年に1回の受験だぜ。これくらい構わないでしょ。」なんて通じるわきゃない。2日目はどうするのでしょうか?もう少し常識をわきまえてくれませんかね。〇〇アカさん。これだから塾は…なんて一緒くたにされたんじゃたまりませんからね。では、また。

2020年灘中入試1日目
2020年灘中入試1日目